ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
上総の眼に、鋭い光が宿る。
それは、赤い炎となってゆらゆらと揺らめいた。
その圧倒的な威圧感に後ずさりそうになるのを、敬悟は辛うじて踏みとどまった。
「ふふっ。試してみますか? 見掛け通りの二十年ほどの年齢でしかないあなたが、五百の齢を生きる私に勝てるかどうか」
上総の輪郭がぶれて行く。
みしり、みしり――。
ぼきぼきぼき――ごきり。
骨が歪む音が不気味に響き渡る。
筋肉が膨れ上がり、隆起する。
そして、めりめりと音をたてて、その頭上に、一本の角が生えた。
そこに現れたのは、あの日、明日香の葬儀の夜、茜の部屋に現れた赤鬼の異形の姿だった。
メタモルフォーゼ――。
人が、人で無いモノに変化するその様を、敬悟は身じろぎも出来ずにただ、見詰めていた。