ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「敬にぃ……」


その様子を見ていた茜は、こんな時なのに、妙な事に感心していた。


――敬にぃってもしかして、もの凄くケンカ慣れしてる……?


「茜っ!」


「は、はいっ!!」


突然、敬悟に名前を呼ばれて、茜は文字通り飛び上がった。


「いいか。良く聞け」


上総の攻撃をかわしながら、敬悟が叫ぶ。


「この洞窟の何処かに、結界をコントロールしている場所がある。それを見付けて、壊せ!」


「え……?」


「多分、最初に飛ばされた 『青い闇』、あの振動音の発生源、そこがそうだ!」


「青い闇……。で、でも、敬にぃ!」


「行け! 俺は大丈夫だ。お前はお前が出来ることをするんだ!」


「行けっ!!」


「は、はいっ!」


茜は洞窟の更に奥へと駆け出した。


自分に、出来ること。


そうだ、私は私に出来ることをしよう。


――敬にぃ。


死んだりしたら、許さないよ。


必死に走る茜の目前で、ほの明るかった空間がどんどん暗くなって行く。


それは、あの「青い闇」に酷似していた。 


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