ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「結界を破壊させて、何になるんです? この里の者は、ただ故郷の星に還りたい、そう願っているだけですよ? それを壊してしまえる理由が、あなたにあるんですか?」


びゅっ、びゅっと鬼の腕で空を切りながら、上総が問う。


「あるさ。俺は、茜を守りたい。そのためには、あんたのように、何百年も生きてる鬼にウロウロされては困るんでね。結界がなくなれば、あんただって普通に年老いて死ぬんだろう?」


敬悟が、上総の足をひょいと払う。


ざっと倒れ込む上総に馬乗りになると、上総の右肘の上をがっちり押さえ込み、そののど仏をぐっと掴み上げる。


「ぐぅ……」


上総が声にならぬ声を上げて呻いた。


「いくら鬼でも、ここを潰されれば死ぬだろう?」


締め上げる腕に力を込める。


「や……れっ。殺…せ」


交錯する鋭い眼光――。


それは、確かに似た光を放っていた。

< 303 / 349 >

この作品をシェア

pagetop