ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「しかし、これだけ深い崖だと降りようがないな」
崖下を覗き込んだ敬悟は、どうしたものかと考えを巡らせた。
落差が二十、いや三十メートルはある。飛び降りられるような高さではない。よしんば降りられたとしても、上がっては来られないだろう。
他に下に降りられる手段が有るのかも知れないが、それを知る術がない。
上総は、結界の発生装置と地下に眠る宇宙船の起爆装置が『連動』していると言っていた。
そして、爆発すれば、この洞窟は崩落すると。
逆に考えれば、洞窟が崩落する程度の爆発ですむ筈なのだから、発生装置を破壊してすぐに洞窟の外に出られればいいのだが……。
「あの中心で光ってる丸い金属の固まりみたいのが、発生装置なの?」
「ああ。多分な」
茜の問いに、敬悟が頷く。
茜を先に逃がして、自分だけで何とかするか――。
いや。
そもそも、すんなり外に出られるのか?
ここに来るまでに、空間が妙に歪んでいる箇所がいくつかあった。来た道を戻ったとしても、外に出られるかどうかかなり怪しい。
最悪、同じ所をどうどう巡りする可能性もある。
どうする?
敬悟が自問自答する。
その時だ。
不意に茜の胸のペンダントが激しく振動を始め、ビィィーンと言う振動音が高く低く薄闇の中に響き渡った。