ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
三日月型の金色の虹彩が、大鬼を睨《ね》め付ける。
ユラリ。
息をのむ茜の目の前で、敬悟の身体の輪郭がゆっくりと、ぶれて行く。
その全身から陽炎のように深紅のオーラが立ち上った。
ボキボキボキ――。
ゴキリ。
筋肉が隆起し、骨格が変化する。
強靱なかぎ爪、鋭い犬歯。
そしてその力を誇示するかのような、大きな角が頭蓋から天に向かい伸びていく。
やがて茜の目の前に現れたのは、異形の赤い鬼の姿だった。
敬にぃ……。
茜は声もなく、大きな鬼の背をただ見詰める。
「行け、茜!」
赤い鬼が、黒い大きな影に向かって跳躍した。