ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
あの時、鬼が淵での一件の時。
玄鬼に、一時的に力を覚醒させられた時に体感したエネルギーの流れ。
あれだ。
あれを、思い出せ。
すう。
息を吸い込み、精神を統一する。
動きを止めた敬悟の体を、黒い刃が斬りつけていく。
それでも構うことなく、敬悟は続ける。
『無理に逆らうな。力の流れるまま、受け入れるんだ』
額から入り、首、胸、鳩尾を巡り全身を駆けめぐるあの時の灼熱感が、玄鬼の言葉と共に蘇る。
ああ、これだ。
胸の前で両の手のひらを合わせ、エネルギーを集中させる。
ポッと、手のひらの間に赤い光が生まれた。
それは徐々に光を強め、大きくなっていく。
分かったよ、玄鬼。
力のコントロールの仕方が、分かった。
敬悟は、手中の光の玉を大鬼目がけ全身全霊を込めて、投げ放った。