ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「おったぞ! 捜索中の二人だ」


「タンカだ、タンカを早く!」


茜が、近付いてくる大勢の人の気配と、慌ただしい雰囲気に包まれて目を覚ましたとき、倒れていたのは洞窟の外、入り口を出てすぐの所だった。


目を開けて最初に視界に入ってきたのは、傍らに横たわる敬悟の顔だ。



茜を真っ直ぐに見詰め返す敬悟の瞳には、穏やかな光が揺れている。



夜明けが近いのか、東の空が白み始めていた。



耳に届く、遠くで響いている波の音。



少し冷たく感じる湿気を含んだ潮風が、大地に横たわる二人の体を撫でながら吹き抜けて行く。



繋いだ手から伝わる体温が、これが夢ではなく現実だと教えてくれる。



「生きてる……ね」



「ああ」



生きている。



茜の呟きに、敬悟が目元を綻ばせる。



二人とも、死を覚悟した。



力を使い果たしたあの状態で、助かる可能性があるとは思えなかった。



それでも、二人はこうして生きている。



かすり傷一つ負うことなく。



その訳を、茜は分かる気がした。


「……お母さん」


――お母さんが、助けてくれたんだよね?


茜は静かに目を閉じると、以前と同じように胸に輝いているペンダントの青い石を、ぎゅっと握りしめた。

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