ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

数日後の昼下がり。


茜と敬悟は、担ぎ込まれた地元の病院で『健康体』のお墨付きを貰い、退院することになった。


元々、かすり傷一つなく『念のため大事を取って』の入院だったのだから当然ではあった。


無人島だと思われていた鬼珂島に人が住んでいたことや、今まで誰にも知られずに来たことが、数々の憶測を呼んだ。


『伝説の鬼ヶ島に住民発見!』などと、地元の新聞や週刊誌を賑わせているようだったが、住民の中に真実を語る者が居るわけもなく、『鬼隠れの里』の実体が明るみに出ることは無いだろう。


宇宙船もエイリアンのテクノロジーも、全てはあの洞窟の下、上総の亡骸と共に永遠に闇の中へと封印されたのだ。


長い時の流れの中、守られてきたエイリアンの血脈も、緩やかに人に交わり、やがて薄れていく。


その求めてやまない、望郷の念と共に――。

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