ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「神津 敬悟! 返事しろーっ!」
張り上げた声が、吸い込まれるように消える。
「何で、いないのよぅ……」
心細さに、泣きたくなる。
幼い頃から一人ぼっちが、大嫌いだった。
きかん気が人一倍強い子供だった反面、人一倍寂しがり屋でもあった。
一人が怖いと言って泣く夜は、いつも隣にいてくれた敬悟。
『大丈夫だよ、茜ちゃん。僕がいつも一緒にいるからね』
そう言って、いつも茜が寝付くまで、手を繋いでいてくれた。
いつの頃からか、さすがに年頃になってそう言うことはなくなったが、子供の頃から刷り込まれた頼り癖は、そうそう抜けるものではなかった。
無意識に、胸のペンダントを握りしめる。
――だめだ、落ち着け。考えるんだ。
今、どうすればいいのか。
今、出来ることを考えるんだ、茜!
ふぅ、と一つ大きく深呼吸をする。
弓道の試合の時、弓を射る瞬間、いつもそうするように精神を統一する。
――そうだ、見えないのなら、聞けばいい。
そう思い当たった茜は、耳をすます。
「あれ? この音……」
低い、微かな振動音が聞こえた。
地面に手を当ててみると、確かに微かだが地面も震動している。
この震動が大きくなる方へ行けば、何か分かるかも知れない。