ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
すべらかな頬の輪郭。
通った鼻筋に、かすかな微笑を浮かべた愛らしい唇。
茶色と言うよりは鳶色の大きな瞳は、日本人には珍しい色合いをしている。
目に映る女の容貌が脳神経に到達した瞬間、茜はその場に固まった。
「えっ……?」
驚きのあまり、言葉が続かない。
振り返ったその人は、茜の良く知っている人物だった。
色素の薄い茶色の、優しくウェーブのかかった綺麗な長い髪。
柔らかい、その髪の感触が好きだった。
でも、そんなはずはない。
その人のはずがないのだ。
「お、お母さん……?」
思わず声が震える。
茜の動揺など意に介さないような、天使のような笑顔。
その優しい笑顔は、見まがうはずもない、母、明日香のものだった。