ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「鬼ぃ!?」


茜のセリフに驚いて、敬悟がさらに目を丸くした。


ぱちぱちと三回ゆっくり瞬きすると、茜の顔をマジマジと見下ろす。


「何だそれ。……夢でも見たのか?」


真顔で聞き返されて、茜はますます訳が分からず混乱してしまう。


「だって夕べ敬にぃ、私に『風呂入って寝ろよ』って言いに来て、『鬼』 見たでしょ!?」


同意を求める茜の顔を、敬悟はただ『きょとん』と見返していた。


その表情に嘘は見えない。


正直、『あれ』は茜自身も未だに信じられない。


何せ、『赤鬼』が自分の部屋に出現して、その鬼に襲われたのだ。


おとぎ話じゃあるまいし『鬼が出た』と聞いて素直に驚く人間は、幼児か余程のおめでたい思考回路の持ち主だろう。


茜だって、他人がそんなことを言い出しても信じない筈だ。


「それで、ペンダントが青く光って……」


敬悟の、真面目に『?』な反応に、だんだん自信がなくなって来て口ごもってしまう。


――夢だったの?


あれが全部?


鬼に襲われる夢を見て、又その中で違う夢を見たの? 


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