ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
涙のような形をした、深い色合いの『青い石』
それは、まるで持つ者の心を映すかのように、見るたびに微妙に色が変化した。
茜が嬉しいときは、何処までも続く真っ青な夏の空のように。
茜が寂しいときは、全てを包み込む母なる海のように。
時には強く、時には優しく、青く澄んだ光をはらんで輝いた。
茜には、まるで魔法の石のように感じられた不思議なペンダント。
今までは、綺麗で温かい感じがするこのペンダントを身につけるのは嫌ではなかった。
むしろ、少し大人になったような気がして嬉しかったのだ。
でも――。
優越感の裏に潜む、言いようのない疎外感。
幼い茜の心に芽生えた、小さな疑問符。
その小さな疑問符は、茜の心の奥底に小さなしずくを落とした。
しずくが生んだかすかな波紋はさざ波に変わり、やがては大きな波へと変わっていく。
――どうして、私だけが?
その答えをくれる人間は、この世に、ただ一人しかいなかった。