ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
茜にはもうその石が、母から貰ったペンダントであることが分かっていた。
あの時、部屋に現れた赤鬼は、このペンダントを取ろうとしたのだ。
あの母の顔をした鬼女。
そして、真希。
茜は、胸元から青い石ペンダントを引き出して手のひらに乗せると、答えを求めるようにじっと見詰めた。
これは『守りの石』だから外さないようにと、母から渡されたものだ。
その石を『鬼』が返しに来いと言う。
それは、自分が正当な持ち主だからと。
――なら、その石に守られている私は、何なの?
診療時間が終わり、人気のなくなった病院の待合室。
隅のイスに一人座りペンダントを握りしめた茜は、リノリウムの白い床を見詰めながら、答えの出るはずもない事を、身じろぎもせずに考えていた。