ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
敬悟は、茜に『すべきこと』ではなく『したいこと』を問うた。
義務を押しつけるのではなく、権利を尊重するその物言いが茜にはありがたかった。
『私が、したいこと』
茜は静かに目を閉じると、自分の心に問いかけた。
『茜は、直情型のわりに奥手だからなぁ。もっと素直になりなよ』
いつだか、真希が言った言葉が胸を過ぎる。
好きな人の話題で盛り上がっていたときだ。
『彼氏なんていらないよ! 私には弓道が恋人だもん』
色気の欠片もなく言い切る茜に、真希は口調は以外と真剣なものだった。
私。
私がしたいのは――。
そんなこと決まっている。
茜は決意をこめて、真っ直ぐ敬悟を見上げた。