ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「鬼の名が付く地名?」
茜はきょとんと目を見開いた。
「ああ。鬼が言っていた『キガクレノサト』の『キガクレ』は、おそらく鬼が隠れると書くんだと思うんだ」
「鬼が隠れる里……」
「全くの勘だけどな。それに、さすがにズバリそのものの地名は無かったし」
そう言って、敬悟は苦笑した。
「まあでも、例え見当外れだとしても、闇雲に探し回るよりは効率がいいはずだ」
茜一人でもたぶん『鬼』に関わる場所を探すことは思い付くだろうが、『キガクレノサト』が『鬼隠れの里』という発想は出てこないだろう。
茜は思わず、尊敬の眼差しを4つ年上の従兄に向けた。
「あ、あの敬にぃ……」
「うん?」
今が、言いそびれていた「ありがとう」という言葉をいうチャンスだ。
茜はそう感じたが、だがその前にどうしても可及的速やかに解決しなければならい、せっぱ詰まった問題が生じていた。
「敬にぃ、お願い! トイレに寄って!」