ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
『付けられている』
その言葉にギクリとしながら、茜と敬悟は同時に玄鬼の尻尾の指し示した方向に顔を向けた。
自分たちの車から右斜め後方に男が居た。
黒いライダースーツに、やはり黒いフルフェイスのヘルメット。
黒ずくめの大柄な男だ。
まばらな車の列の間で、バイクに寄りかかりながら茜達の方を見ていたその男の視線とばっちりかち合う。
男は『ぎょっ』としたように一瞬固まり、そして何気ない風を装ってバイクの点検を始めた。
怪しすぎる。
まるで挙動不審だ。
「あれ?」
茜が、小首をかしげる。
あのがっちりとした体のラインには見覚えがあった。
「なんだ? 茜の知り合いか?」
「うん、たぶん……」