ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「はい、どうぞ。橘君はミルクココアでいいんだよね?」


「あ、はい。ありがとうございます!」


敬悟が自販機で買ってきたアイスミルクココアのカップを、ニカッと爽やかな笑顔で受け取り、橘信司は車の後部座席で大きな体を申し訳なさそうに縮めた。


それでも座高が減るわけではなく、スポーツ刈りの頭は普通乗用車の天井につかえそうになっている。


信司が一口ココアに口を付けるのを待って、茜が口を開いた。


「橘君、学校は……?」


「病欠。風邪をこじらせて取りあえず一週間休むって連絡してある。それにほら、家は両親揃って仕事で海外だから融通がきくし」


あはは、と引きつり笑いを浮かべる信司のセリフに、茜と敬悟ががっくり肩を落とす。


学校には病欠の連絡を入れてあり、ご丁寧に不在を心配する家族は海外在住。


少なくとも、一週間は家を空けても誰かに不審がられることはないのだ。





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