ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
信司が茜たちを追ってきた目的は、聞くまでもなく明らかだった。
「あの、『キガクレノサト』に行くんですよね? お願いします。俺も一緒に連れて行って下さいっ!」
そう言って信司は頭を深々と下げた。
「橘君……」
茜には、信司の気持ちが痛いほど良く分かった。
『彼女』が、意識不明の昏睡状態になっているのだ。
そして、その原因を信司は知ってしまった。
何かしたいと思うのは当たり前の感情だと思うし、あの鬼に変化した真希を目にして逃げ出すのではなく、助けようとする信司の気持ちはとても嬉しかった。
でも。
「君は帰った方がいい」
「え?」
茜の気持ちを、敬悟が過不足無く代弁した。
言葉尻は柔らかいが、敬悟の言葉にははっきりと『帰りなさい』という意志が込められている。
それを感じたのか信司は軽く眉を寄せた。
「で、でも俺、俺にはじっとして待っているなんて出来ません。もしあのまま……」
真希が目を覚まさなかったら。
不吉な言葉を、信司は飲み込んだ。