ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「気持ちは分かるが、君を連れて行く訳にはいかないよ」


そう。


相手は鬼だ。


人外のモノ。


茜たちがただ石を返すつもりでいても、何が起こるか予想がつかない。


そこにこれ以上関係のない人間を巻き込むことは絶対出来ない。


それが、茜と敬悟の共通した考えだった。


「なら、いいです。勝手に付いていきますから俺」


信司はミルクココアを一気に飲み干すと、大きなごつい手でくしゃっとカップを潰した。


「それじゃ、ごちそうさまでした」


「橘くん!」


ぺこりと頭を下げると、信司は無言で車を出ていってしまった。


そのまま自分のバイクの方へすたすたと歩いて行き、ヘルメットをかぶる。


そして準備万端とばかりにバイクにまたがった。


「どうしよう、敬にぃ……」


「そうだな。途中で諦めてくれればいいんだが」


だがあの鼻息では、それも期待できそうになかった。


茜がチラリと『自称監視者』だという膝の上の玄鬼に視線を走らせると、とうの本猫は我関せずとばかりに丸くなって寝入っていた。


どうやらこれも管轄外と言うことらしい。

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