ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「とにかく、目的地に向かおう。最初は一番近い東京、『鬼志茂』からだ。今のうちに腹ごしらえしておけよ」


「う、うん」


そう言えば、急にお腹が空いてきた。


今はもう10:30。


朝から何も食べていないので腹の虫がぐうぐう文句を言っていた。


茜はさっき敬悟に渡されたビニール袋を物色すると、おにぎりを二つ手に取り『ちょっと差し入れしてくる』と言って、信司の元へ駆けていった。


敬悟はため息をつきつつ、それを目で追う。


「まあ、良かろうて。あれだけ図体がでかければ、何かの役に立とうというものじゃ」


眠りを邪魔された玄鬼が、『ウ~ン♪』とノビをしながら、誰に言うともなしに呟いた。


もちろん車の中には敬悟しかいないから、独り言で無ければ敬悟に対して言ったものだろう。


敬悟は、チラリと助手席に座る玄鬼を見やった。

< 90 / 349 >

この作品をシェア

pagetop