ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「とにかく、目的地に向かおう。最初は一番近い東京、『鬼志茂』からだ。今のうちに腹ごしらえしておけよ」
「う、うん」
そう言えば、急にお腹が空いてきた。
今はもう10:30。
朝から何も食べていないので腹の虫がぐうぐう文句を言っていた。
茜はさっき敬悟に渡されたビニール袋を物色すると、おにぎりを二つ手に取り『ちょっと差し入れしてくる』と言って、信司の元へ駆けていった。
敬悟はため息をつきつつ、それを目で追う。
「まあ、良かろうて。あれだけ図体がでかければ、何かの役に立とうというものじゃ」
眠りを邪魔された玄鬼が、『ウ~ン♪』とノビをしながら、誰に言うともなしに呟いた。
もちろん車の中には敬悟しかいないから、独り言で無ければ敬悟に対して言ったものだろう。
敬悟は、チラリと助手席に座る玄鬼を見やった。