ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

金色の瞳の中のビー玉のように黒く大きな虹彩が、じっと敬悟を見上げている。


交錯する視線は、友好的とはほど遠い。


茜は大分警戒を解いてしまっているが、この子猫は間違いなく『敵』なのだ。


それを忘れていたら、足下をすくわれる。


「お前、本当の目的はなんなんだ? ただの監視じゃないんだろう?」


茜には見せない鋭い眼光で敬悟が睨めつけるが、玄鬼は動じる風もない。


「言ったであろう。ワシの役目はあくまで監視じゃ。そう警戒せずとも、取って喰ろうたりはせんて」


ニヤリと、それと分かる笑いが子猫の顔に浮かんだ。


その口の端に、肉食獣の鋭い牙が顔を覗かせる。


『からかわれている』


敬悟は眉間にシワを寄せて玄鬼から視線を外した。


バックミラー越しには、何やら談笑をしている茜と信司の姿が見える。


旅は始まったばかりだと言うのに、よりにもよって『敵』の同行者。


おまけの『彼氏君』。


先が思いやられる。


敬悟は軽い目眩を覚えた。


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