ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「ああ、言い忘れていたけど、お前が寝ている間に携帯の電源、切っておいたからな。自分がかけるときだけ電源を入れるようにしろよ。真希ちゃんはどうやら携帯を通して操られたみたいだから」
「え?」
携帯で、操られた?
敬悟の言葉に、茜は目を丸くする。
「一つの可能性だ。確信があるわけじゃない。でも、お前の話を聞く限りじゃ真希ちゃんは、電話を受けた直後におかしくなったんだろう?」
コクリと、茜は頷く。
「可能性があるかぎり、リスクは避けた方がいい。そう言うことだ」
電話を受けた後の真希の変貌が脳裏に甦り、茜は背筋にゾクリと悪寒を感じた。
ダッシュボードの上に置かれた自分の携帯電話をこわごわと眺める。
文明の利器である携帯電話。
それが人を鬼に変える媒体となっているかもしれない。
もしもそうならば、自分が真希のように操られてしまうかもしれない。
『かもしれない』
全てが仮定の域をでない。
それでも、敬悟の言う通り用心するに越したことはない。
「う、…うん、分かった」
茜は、ゆっくりと頷いた。