虹の中の観覧車
気持よく酔ってしまい、その流れのまま、塁を付き合わせた。

楽しかったんだけど、後で、


「実はデートだったんだ。てめぇ、ちゃんと謝れよな。」


塁の彼女に謝らされるはめになった。


「全然大丈夫だよ。せっかくの誕生日に塁なんかでごめんね。」


俺にとっても中学の同級生の彼女は、塁の携帯の向こうでそう言って謝った。


そのやりとりを聞きながら、ぶすったれる男が一人。


今年は大丈夫です。

巻き込みません。


「リハーサルお願いしまーす!」


かけられた言葉に返事をしながら、今年の誕生日をどう過ごすかに心が向いていた。

誕生日はあと、28時間後にやってくる。

その時、笑った彼女がそばにいてくれるために、俺は、なんでも出来る気がしていた。



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