虹の中の観覧車
「22年前の明日、俺が生まれた。」


少しだけドキリとした表情になった。


「俺がその日、この世界に生まれなかったとしたら、きっと、それなりに俺の人生があって、今とは別の俺がいたんだと思う。」


じっと見つめる彼女。

君も、同じ。

もし、違う日に違う場所で生まれていたなら、哀しい思いはしなくても良かったのかもしれない。

雨が降る公園にひとりぼっちで眠っていることもなかったのかもしれない。

でもね………


「でもね、美羽。22年前の3月25日に生まれたから、今の俺があるんだ。」


君も、雨が降る公園でひとりぼっちになったから、今、ここにいるんだよ。

二人を乗せた観覧車は、少しずつ、天辺へと近付いていった。


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