虹の中の観覧車
「生まれてきてくれて、………ありがとう。」


そう言うと、優しく笑った。










「お誕生日、おめでとう。瞭くん。」










今までで一番綺麗な笑顔で、俺を見つめ、そして、ゆっくり近付いた。









彼女からの、その温もりは、世界で一番優しい温もり。

きっと、一生忘れない。










「大好き。瞭くん。」


俺の首元にしっかり腕を回し、温もりそのままの唇で、耳元で囁く。

そんな背中を抱き締めながら、髪を撫でながら、なぜか、涙が溢れた。


「ありがと……美羽。」


「うん。」


その声が、無邪気な笑顔と一緒に返ってきて、もう一度、温もりを確認する。



< 20 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop