虹の側に
熱冷まし
「はい。これね。」


「……っ!」


「…………。」


「………ありがと。」


「……………。」


流れる沈黙………。

たまらない………。

逃げ出したい………。

毛布をぎゅっと引き上げ、頭の天辺まですっぽりと潜った。

離れていく足音。

静かに閉められたドア。


「はぁ…………ぁぁ……熱上がりそ。」


呟いた言葉と一緒に吐きだされた吐息が熱を持ち、毛布の中で渦を巻く。

たまらず顔を出してみる。


「ふぁ……まいったな…。」


おでこに貼られた四角いシートにそっと触れてみる。

ジェルを覆う薄めのフェルトが、優しい温もりで熱を持つ指先を向かえてくれた。

こんな布切れに優しさを感じてる場合じゃないのに……。

まいったな……。


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