虹の側に
「どいて。」


あ…………


「………みわ…ちゃん?」


「………………どいて。」


「………はい。」


体をずらすと、ゆっくりと起き上がりベッドサイドに立って手を差し出した。


「熱、測って。」


「はい。」


真顔で言われ、素直に体温計を受け取り、脇に挟む。

怒ってる。

頬は膨らんでいないけど、瞳が…………突き刺さる。

グサリと……。

体温計が無事に仕事を始めたのを確認し、部屋から出ていった。

もちろん、ドアもしっかり閉めて。

おふざけが過ぎたかな。

一瞬のうちに消え去っただるさが一気に襲ってきた。

何やってんだか……。

仰向けになり、体温計を脇に挟む。

枕元に置いた携帯で時間を確認。


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