虹の側に
ピピピピ………

電子音が仕事を終えたことを知らせた時には、もう、意識が消えていた。

瞳を閉じたと同時に襲ってきた眠気。

自分の体がそんなに大変なことになってるなんて……。










「……39度5分。」


空気が動いた気がして目が覚めた。

体温計とにらめっこしている彼女。

俺の目が覚めたことに気付き、手にしていた物をぶっきらぼうに俺の額めがけて押し付けた。











ヒンヤリとしたジェル。



白いフェルトが、かさかさとして寂しさをかもしだす。










「これ………どうしたの?」


「………。」


だんまりを決め込んだのか、じっと見下ろし、何も言わずに部屋から出ていった。

最悪の雰囲気。



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