虹の側に
なんだか、全てが悪い方へと転がる。











「まだ居たの?」










悪さをする発熱男に愛想をつかして帰ったと思ってた。

あまりにも静かだったから、仕事に行ったと思ってた。

まさか、ずっと居てくれてるなんて思わなくて。

まさか、開けた寝室のドアの反対側にしゃがみこんでいたなんて知らなくて。

まさか……………

だから、思わず口から出た。

だから、嬉しくて口から出た。









「こんな俺のために、まだ居てくれたなんて、嬉しいよ。ありがとう。」










そう、言えば良かった?










極上の嘘の微笑みは、たくさんの涙を心に隠して。

何もなかったように俺に向けられた。



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