虹の側に
溜め息が熱をもって溢れ落ちる。

ベッドでの戯れは、まぁありだとして……。

やっぱりまずかったよな。

今更のように頭をかかえた。

彼女が沈み込んでいたソファにドサッと倒れこんだ。

まだ暖かいその場所は、俺への想いに溢れていた。


「ごめん。美羽。」


呟いたところで届くわけもなく、時間は刻々と過ぎていく。

とにかく、増々上がっていく熱と重い体を無理矢理引きずり、仕事に出る準備を始めた。

適当に一番上にあるシャツとジーンズを身に付け、水を飲もうとキッチンに入る。

何も食べる気にならず、ミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出した。

ペットボトルの蓋を開けながら、申し訳なさそうに置かれた鍋に近付いた。



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