虹の側に
一人分のラーメン用に実家から持ってきた小さな手持ち鍋。

ミネラルウォーターをごくりと飲み込み、そっと蓋を開けた。

そこには、白い優しい温もりがあった。


「………おかゆ…だ。」


俺が起きるのを待っていたのだろう。

もう冷たくなっているけれど、ほんの少しだけ塩の利いたお粥はとても美味しかった。

一口だけ胃に落とし、蓋を閉じた。

鍋ごと冷蔵庫にしまう。

お粥を冷蔵庫にいれるなんて聞いたことはないけれど、外に一人で置いとけなかったから。

きちんとしまっておかなくちゃって思ったから。

俺は、君を縛りたいわけじゃない。

ただ、ずっと側に居たいって。

だから、帰ってくるまでどこにも逃げないで待っていて欲しいんだ。



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