虹の側に
消えないで、本当の笑顔で待っていて欲しいんだ。


嘘をつかせたくはないから。


哀しい笑顔はみたくないから。


「行ってきます。」


お粥に向かって挨拶をし、静かに冷蔵庫のドアを閉めた。

バッグを肩に担ぎ、彼女が消えた玄関のドアを開ける。

熱のせいなのか、沈んだ心のせいなのか、いつもより重いドアは、冷たい金属音で閉じられた。



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