虹の側に
薄いブルーに統一された病室。

ぐるりと見回すと、枕元の棚に置かれた小さな時計。

どれだけ眠っていたのだろう。

時刻は、夜の9時を過ぎたところ。

腕に繋がれた管を見上げ、溜め息をついた。

朝から溜め息だらけだな、俺。

今夜は、帰ったら、まず、美羽を訪ねて………

その頃にはすっかり元気になっていて……って、こんな予定外のことがあると困るんだけど。

こんなのは予定にない。

まいったな……。

本日何回目かの台詞を心の中で呟いた。

熱が下がったからか、体のだるさも頭の重さもすっかり良くなっていた。

管を流れる透明な液体のお陰なんだろう。

事務所御用達のこの病院。

入院は初めて。



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