虹の側に
どんなに遅くに帰っても、いつもの朝の散歩の時間には目が覚める。

彼女……美羽と出逢ってからの俺の体内時計は、そうセットされるようになった。

もちろん、今朝も。

体を起こし、着替えようとベッドを降りた。

寝起きのせいか、足元が揺れる。

睡眠時間、約二時間半。

散歩から帰っても、仕事は昼から。

もう一度ベッドに潜り込む時間はたっぷりある。

大きく息を吐き出し、頬を両手で軽く叩いて気合いを入れた。

公園へ向かいながら、笑顔で空を見つめる彼女を想い、自然と心も体も暖かくなる。

吐き出す息がいつもより熱いのは、彼女を想う心も熱いから。

そんな風に甘い時間を待ちこがれるただの馬鹿な一人の男がここにいた。



< 3 / 35 >

この作品をシェア

pagetop