虹の側に
彼女の掌が俺のおでこにぴたりと当てられた。


「瞭くん、わかってる?」


わかってる?


「熱、あるよ?」


「………うそ……。」


「帰ろ。はい、立って。」


足元が揺れるのも、吐息が熱いのも、これで納得。

なるほどね。

熱か…………。


「瞭くん?帰るよ?」


一人で納得してたら、隣でほっぺを膨らませて仁王立ちの彼女がいた。


「なんで………こんななってんの?」


腕を伸ばし、膨らんだほっぺを人指し指でつつく。


「帰るよ。」


にこりともせず、怖い顔で睨んでる。


「なんで笑ってるの?熱でおかしくなった?」


笑ってるつもりはなかったんだけど、この怒り顔もなかなか可愛い……。



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