虹の側に
「聞いてる?」


聞いてる。


「はいはい。じゃ、今日はこれでお開きね。」


ゆっくり立ち上がると、目の前が驚くほど綺麗に波を打った。


「瞭くん!」


揺れる体を、必死に小さな両手で捕まえてくれた。

情け無いかな、その小さな支えのお陰でなんとか立っていられた。

こんなに体調悪かったなんて気付かなかった。

そんな俺も凄いけど、気付いちゃう美羽も凄いなぁなんてこんなときに感心してみたり。


「ねぇ、帰れる?」


「ごめ……大丈夫。」


体勢を整え、深呼吸。


「瞭くん?」


ふくれっつらから一転、心配顔で、しかも泣きそうな瞳で見上げられ、つい、甘えたくなった。




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