虹の側に
俺の熱と彼女の温度
なんとかたどり着いた我がマンション。

オートロックを解除し、5階迄上がるエレベーターの中。

壁に寄りかかり、初めて本当に体の力を抜いた。

出そうになる溜め息をぐっと堪え、見上げる瞳に安心を送る。


「ん?大丈夫だよ。ただの風邪だし。」


「………ん。」


心配そうに頷いた頭を、ポンポンと撫でた。

ちょっとやりすぎたかな。

心の隅に追いやった罪悪感が頭をもたげる。


「ごめんな。」


いろんな意味で。


「ううん。熱、上がってる。どうしよう。」


熱い首元に掌を当て、困った顔をした。


「大丈夫。すぐ下がるから。」


部屋の鍵を開け、正直、本気で辛くなってきた体をとにかく横にしたくて寝室目指して二人で進んだ。



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