♀スクール・デイズ♂
1・tumble down
新学期、私は体育館の前に掲示されているクラス分けを確認すると、校舎の方へと走った。


昨日、興奮して寝つけなかったからなぁ。


元々、寝つきは悪い方で、何かイベントとか新学期を控えているとか、そんな時は特に眠れない。


ゆうべも、ベッドに入ったのは23時。


何度も寝返りを繰り返しては、眠れない、眠れないとイライラしながら、幾度も時計を見て。


最後に目覚まし時計を見たのは、深夜3時半。


ほんと、夜が明けて、幾時間しか眠っていなくて、今、フラフラ。


それに、寝坊気味で、小走りで新学期を迎えた高校へと来た。


「――キャッ」


自分のクラスを確認し、回れ右をし、昇降口へと踵を返したところ……足がもつれて、派手に転んでしまった。


あ痛たた……。


制服のスカートから覗く膝に、鮮血が滲んでいた。

またやっちゃった。


転び癖があるのに、慌てていた。


だけど、血がだくだくと流れ出していないだけが幸いだわ。 


膝は、皮がむけて、赤くなっていたけれど。


まずは、手当てよりも、教室へ向かうことが先だ。

転んでも、周りには誰もいなかったから、恥ずかしい思いなんてすることはなかった。


だけど、誰もいない、ということが逆に焦る。


本当に、遅刻ギリギリ……アウトに近い時間だったんだ。


私は掲示板で確認した2年2組の教室へと走った。


私の名前は、綿貫羅々(わたぬきらら)。


誕生日は、3月27日。


誕生日順で並べられる小学校時代の出席番号は6年間ずっと一番最後だった。

中学に入ってからも、同じだった。


あいうえお順での出席番号に変わっても、一番最後という運命……。


だから、さっきのクラス発表の掲示板で、自分の名前を探すのは楽だったけどね。


一番最後の名前をずらっと見ていけばよかったから。


とにかく、私は猛ダッシュで校舎へと向かったのであった。



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