♀スクール・デイズ♂
2・a person on the lips
「よー、おはよー」
教室へ入るなり、まだ眠たげな目で片手を挙げ、芳(よし)くんが声をかけてきてくれた。
昨日できたばかりの、友だち。
「おはよー。何、眠いの?」
私が席にカバンを置くと、斜め前の席の芳くんは机にうつ伏した。
「あー。寝てねーんだ」
「勉強でもしてたの?」
すると芳くんはあたまをフルフルッと振って、
「寝つき悪くてさ。眠れなくてイライラしたから、朝までずっとマンガ読んでた」
と、まだイラつきを見せながらも、半ばまどろんでいるようだった。
「私も寝つき悪いよ。だから、その気持ち、よく解るわ」
私、そのせいで、始業式に遅刻したんだ。
すると、私の言葉に彼は少し顔を上げ、振り返った。
「解るか。辛ぇよな」
「うん。非生産的な時間だよね」
「本当だよ。まったく。バカヤロー」
機嫌、悪ぅ。
昨日は少年みたいで、笑顔の可愛い男の子、なんて思っていたけれど。
今日の芳くんは、悪ガキだ。
暴言を吐くと、彼はまた自分の机にうつ伏して、動かなくなった。
「おはよう」
やがて、カズくんが登校してきた。
「あ、おはよー」
私は芳くんがそんな状態だったので、誰ともしゃべることなく、ぼーっとしていたところだった。
「なんだ、芳は。また完徹したのか」
背の高いカズくんは、芳くんを見下ろして言った。
「また? またって、よくやるの?」
ゆっくりとした動作で彼は席につくと、ああ、と頷いた。
「芳とは、去年も同じクラスだったんだが、朝から眠ってて……そのまま放課後までぶっ通しで眠ったままってこと、よくあった」
ツワモノ……。
教室へ入るなり、まだ眠たげな目で片手を挙げ、芳(よし)くんが声をかけてきてくれた。
昨日できたばかりの、友だち。
「おはよー。何、眠いの?」
私が席にカバンを置くと、斜め前の席の芳くんは机にうつ伏した。
「あー。寝てねーんだ」
「勉強でもしてたの?」
すると芳くんはあたまをフルフルッと振って、
「寝つき悪くてさ。眠れなくてイライラしたから、朝までずっとマンガ読んでた」
と、まだイラつきを見せながらも、半ばまどろんでいるようだった。
「私も寝つき悪いよ。だから、その気持ち、よく解るわ」
私、そのせいで、始業式に遅刻したんだ。
すると、私の言葉に彼は少し顔を上げ、振り返った。
「解るか。辛ぇよな」
「うん。非生産的な時間だよね」
「本当だよ。まったく。バカヤロー」
機嫌、悪ぅ。
昨日は少年みたいで、笑顔の可愛い男の子、なんて思っていたけれど。
今日の芳くんは、悪ガキだ。
暴言を吐くと、彼はまた自分の机にうつ伏して、動かなくなった。
「おはよう」
やがて、カズくんが登校してきた。
「あ、おはよー」
私は芳くんがそんな状態だったので、誰ともしゃべることなく、ぼーっとしていたところだった。
「なんだ、芳は。また完徹したのか」
背の高いカズくんは、芳くんを見下ろして言った。
「また? またって、よくやるの?」
ゆっくりとした動作で彼は席につくと、ああ、と頷いた。
「芳とは、去年も同じクラスだったんだが、朝から眠ってて……そのまま放課後までぶっ通しで眠ったままってこと、よくあった」
ツワモノ……。