♀スクール・デイズ♂
「……どんだけ、横柄な態度とってんの」


「――ああ、ララちゃんって、マッガいっぱい持ってんのな」


私の方は見ずに、そう言った。


少年マンガから、少女マンガ、手塚治虫から、あずまきよひこまで、ざっと百冊以上は所有している。


その中の、医療モノのマンガを彼は手に取っていた。

――悪ガキ……。


「……、ミルク、温かいうちに飲みなよ」


「うん」


――ダメだ、こいつ。


私は腰を下ろすと、青のチェックのマグカップを両手で包んだ。


昼間、あんなに具合悪そうにしてた子が、こんな夜中時分に出歩いてくるなんて。


もー、病弱なのに、活発なんだから。


私はテーブルの上の小物入れに入っていた体温計を取り出し、芳くんに手渡した。


「ん? 熱ならもうないって」


「一応、測って」


「ん」


芳くんはマンガからは目を離さずに、手だけを伸ばしてきた。


――確かに、熱はもうなかった。6度5分。


やがて、彼は一巻を読み終えると、ムクリと起き上がった。


「マンガ、おもしれー」


「そう。……ほら、ミルク飲みなよ」


「うん」


芳くんも両手でカップを包んで、こくこくと飲み始めた。


やっぱり、小動物か、子どもみたい。


思わず顔がほころんでしまう……。



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