♀スクール・デイズ♂
「うめえな、とんこつラーメン」


「うまいだろ。この前喰って、よかったからさ」


私の前に、2人は座り、そんな言葉を交わしている。


ここは学食。


私と、芳くんとカズくんで一緒にいる。


私は、お母さんお手製のお弁当を広げているわけだけれど。


ゆうべ、芳くんが私のところに泊まったなんて、カズくんは知らないんだろうな。


うん。


あのあと、2人して、眠りについてしまって。


朝方、目を覚ましたら、もう芳くんはいなくて。


自然と目が覚めて、勝手に帰ってしまったようだった。


ゆうべは外でなくて、私の部屋にいたから、芳くんは風邪も悪化することなく

――良かったけれど。


しれっとしてるんだから。

高校生の男女が、毎晩逢瀬を……しかも、ひとつの部屋で、一晩を明かしているだなんて。


学校にバレたら、おおごとだよね。


停学――あるいは、最悪、退学――。


ゾッ……。


私は鳥肌が立ってしまった。


学校とか、親とかにバレる前に、芳くんとの関係、なんとかしないとな。


それに――。


カズくんとの関係も、解らないままなんだよな。


あの、キス、は。


何だったのだろう――。

動揺、していないと言ったら、嘘になる。


私は、カズくんとの、その、キスを芳くんに話したけれど。


芳くんとの逢瀬を、カズくんには言えないでいる。

何でだろう――なんとなく、だけれども。


「ララちゃんも、食べるといいよ」


にんにん、にこにこの笑顔で芳くんがラーメンを私によこした。


「……ああ、ありがとう」

私は芳くんの割り箸で、とんこつラーメンをすすった。


「あ、おいしい」


「あ、おいしい」


「おいしい」


私がスープを飲んで言葉を発すると同時に、芳くん、カズくんも同じセリフを吐いた。


――?



< 44 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop