♀スクール・デイズ♂
「あーっ!」


私は思わず大きな声を上げていた。


芳くんは、私のお弁当のデザートのブロックパイナップルを。


カズくんは、プリンを図々しくも口にしていた。


「ちょっと!」


私は手で制した。


「しょっぱいもの喰ってたら、甘いもの欲しくなった」


「いつも、デザートうまそうだって見てたんだよ」


2人して、ニヤニヤしながら、食べ続けている。


「もーっ」


よく見れば、カズくんの焼肉丼は空っぽだし。


芳くんがよこしたラーメンも、よくよく見たら、私がひと口食べたら、麺がなくなった。


こいつら――。


だけど、こういう扱いのされかた、嫌いじゃない。

日に日に、仲良くなっている気がする……嬉しいよ。

「帰り、ドーナツおごってやるから」


と、カズくん。


プリンをスプーンですくいながら、彼は言う。


「ドーナツ、今、百円なんだっけ」


と、芳くんがカズくんに寄り添うように尋ねる。


「ああ、行くしかないだろ」


「そうだな」


――そんなで、丸め込まれてしまって。


私たちは、3人で、学校から近い駅から、ひと駅。

電車に乗って、降りたところのすぐそこのミスドに入った。


2人とも、甘いもの好きなんだな――。


私と仲良くなる前からも、2人してミスドによく来たりしてたのかな?


だって、電車を降りて、迷いもなく、真っ直ぐここに来れたから。


男子高生2人で、ミスド……プププ。


からからってやろうと思ったけれど、おごってもらっている立場上、笑いをかみ殺していた。


店内は、割と広かった。


近くに高校があるのか、色んな制服の子が介していた。


遠くの方に、茶色のブレザー姿の、男子だけの集団も見えた。


ああ、男の子だけで、ミスドっての、おかしくないのか。 


私の、偏見だったのか。


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