♀スクール・デイズ♂
――なんて。


ドーナツを載せたトレイを持ちながら、店内をぐるっと見渡し終えて。 


カズくんたちがついていた席へ行くと、もうすでに2人ともドーナツに齧りついていた。


思わず私は、苦笑。


普通、みんなそろって待つってこと、男の子はしないのかな?


今まで私、女の子に囲まれてきたからな。


男の子の友だちって、今イチ解らないな。


とりあえず、私も席に着き、アイスコーヒーにガムシロップとミルクを入れた。

すると、芳くんの手が、私のドーナツへと伸びてきた。


パシッ!


私はその手を払いのけた。

「もー。お昼の二の舞は踏まないわよ」


「くそー」


「自分の分、あるでしょ」

「あるけどさー」


にひひ、と笑う芳くん。

もー、この悪ガキ。


なんて思いながら、ストローでコーヒーをかきまぜていた――ところ。


――ぐいっ、と、唐突に、誰かに腕を引っ張られた。

「――!」


私はびっくりして、とっさにその引っ張った主を見上げた。


「――!」


更に驚いて、声が出なかった。


「キレイになったな、ララ」


吊り目を細めて、彼は不敵な笑みを浮かべていた。

全身に、悪寒が走った――。


鏡介――。


「男、2人もはべらしてんだ?」


「……そんなんじゃないわよ」


自分でも驚くほど、低く、小さな声が出た。


鏡介はますます目を細めて見せた。


昔から変わらない、優等生風の銀縁メガネ。


メガネだけではなく、性格まで変わっていないようだ。



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