思いだけでも伝えたい(短編)
沸々


「また落ちた」



ガヤガヤした教室で、樋口がペン回しの練習を繰り返す。


それを見て私は、出来たら喜んで
落ちたら笑う


たまに「私にもできる」宣言をしてペンを回して見せるけど、

樋口たちがやってるみたいな


クルクルってあちゃこちゃ回すのは到底出来なかった。




「なんでペン回し?」

「高校でモテるから」

「絶対モテないと思うよ」




樋口もモテたいとか思うんだ。


ちょっとだけガッカリする。



隣の席に座れるだけで嬉しいのに、最近はそれだけじゃ物足りないって思ってる自分がいた。



卒業まで3ヶ月。



今はその3ヶ月を楽しむだけで、それでいい。





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