思いだけでも伝えたい(短編)
皆隣の公園に行って写真を撮ったりしてる。
でも私は三年校舎階段の踊り場にいた。
樋口を待ってるわけじゃない。
樋口から逃げてる。
覚悟はしたつもりだったのに、いざ樋口を前にすると喉がカラカラになって頭が真っ白になった。
体育館出る時に友達と並んで歩く樋口に見付からないようにここまできちゃったんだ。
「何やってるんだ私」
ヘナヘナとその場に座りこんだ。
「本当に、樋口可哀想よー」
うわあ松矢だ……。
顔を上げると、にやけてる松矢がいた。
「樋口の告白に答えられないなら僕と付き合えばいいじゃないですかー
神谷さんと僕なら緊張せずに話せるんじゃないですかー?」
たしかにそうだけど
「ふざけないでよ」