思いだけでも伝えたい(短編)
「や、キスされそうになっただけで
別にあのえっと松矢とは」
慌てると樋口の手で口を抑えられた。
「煩い」
ええええυ
「松矢って名前聞きたくないんだよ」
樋口は私から手を除けると次は優しいキスをくれた。
一瞬のキス
それは甘くて優しい樋口のキス。
唇が離れた後はポオッとして樋口の胸に支えられた。
「付き合ってくれますか?」
「はい」
もちろん。
少し冷たい風が火照った頬にあたって心地よい。
「結婚前提にって言ったから駄目になる?」
樋口がそんなことをボソッと言っていたような気がしたけれど、今は幸せで何もしたくない気分で
ずっとこうしていたいって思った。