思いだけでも伝えたい(短編)
「なんでえ。1人より2人、2人より3人だろー」
松矢はいっつもこうやって話しに割り込んでくる。
私にとっては嬉しいんだけど。
松矢が話しに加わると一気に花が咲くというか、盛り上がる。
そんな松矢を樋口は煙たそうに見てるけれど。
「……樋口がいいなら」
松矢の視線が私に向かって、仕方なくそう言った。
「駄目」
樋口が松矢を睨む。
なんだこれ
確かに松矢は鬱陶しいけれど、日直が早く終わるのにはかわりない。
なのに何故?
「樋口、このペンを見ろ」
松矢が赤ペンを樋口に見せた。
「ほら、ぐにゃぐにゃ曲がります」
ブンブン振って、松矢の赤ペンがぐにゃぐにゃに見えるー
って感動したらいい?