放課後ハニー

核心ドライブ



―――


別に最初から嫌、なんて訳じゃなかった。
むしろ親しみやすいとさえ思っていた。
だけどふとした瞬間から
それがただの『いい顔』にしか見えなくなった。

どんなに綺麗な女子にも
どんなにやんちゃな男子にも
他の教科の先生にも
PTAの保護者にも
誰もに同じ顔を見せるから。


正面からよりもその横顔の方が
それが顕著に表れていたから。



でも、見てしまったんだ。

初めて屋上に相模が訪れた瞬間の
解放感で満たされたような表情を。

以来益々私の苛立ちは増して
意味のない憤慨が募って
だけど屋上に行くのは辞められない。


それが私たちの習慣だった。

ふたりで決めた事。
だから私は今も守ってる。

受験まであと3ヶ月程。
卒業まではあと5ヶ月切った。

ふたりで決めた約束を
私がふたり分守ってる―。



< 18 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop