放課後ハニー
核心ドライブ
―――
別に最初から嫌、なんて訳じゃなかった。
むしろ親しみやすいとさえ思っていた。
だけどふとした瞬間から
それがただの『いい顔』にしか見えなくなった。
どんなに綺麗な女子にも
どんなにやんちゃな男子にも
他の教科の先生にも
PTAの保護者にも
誰もに同じ顔を見せるから。
正面からよりもその横顔の方が
それが顕著に表れていたから。
でも、見てしまったんだ。
初めて屋上に相模が訪れた瞬間の
解放感で満たされたような表情を。
以来益々私の苛立ちは増して
意味のない憤慨が募って
だけど屋上に行くのは辞められない。
それが私たちの習慣だった。
ふたりで決めた事。
だから私は今も守ってる。
受験まであと3ヶ月程。
卒業まではあと5ヶ月切った。
ふたりで決めた約束を
私がふたり分守ってる―。