放課後ハニー
***
智香は私が屋上を開けた瞬間驚いた。
そして相模と私の間に起こったことを話す間は
ぽかんとしたり無表情になったり感慨深げになったりして
基哉の話をした時には悲しそうになって
ほんとにくるくると表情を変え
「で、なんで黙ってた訳?」
最終的に怒った。
「そうは言うけど…私だってどういう風に話していいかわからなかったのよ…
話そうとしたらここで基哉と逢ってた事も話さなきゃだし、相模は一応教師だし…そもそも相談苦手だし…」
「んーなの全部話しとけばいーのっ!」
智香は叫ぶように言い切って500mlパックの紅茶をストローで勢いよく吸った後、
それを地面にだんっと置いた。
「別に友響の半生を語れなんて言ってる訳じゃないんだよ!?
大体2年の始めに馴初め聞いた時だってはぐらかされたし、惚気話も聞かなきゃ言ってくれないし
あの事で一週間休んだ後はなんか一気にこざっぱりしちゃって遠い感じしたし…」
「智香…」
「とにかく!友響が相模は狡いって思うように、私だって友響は狡いって思ってた!」
ほんの一瞬
智香の瞳が揺らいだのがわかった。
反論しようとしても言葉が見つからない。
そして智香の言葉が少しずつ私の中で重みを増して
ひとつの結論に辿り着く。
相模に対して感じていた真剣みのなさ。
同じことを私は
智香に思わせてしまっていたんだ…。