放課後ハニー
「…ごめん」
口を突いて出たのは謝罪だったけど、智香はキッと私を睨む。
「もうない!?」
「え?」
「話してないこと!まだなんかあるでしょ!?」
「え…っと…」
「事実だけで整理付いてたら空元気になってまで悩む事ないでしょ!?」
今にも火花が散りそうなくらいの雰囲気で迫り
彼女なりに推測したことを
言わせたいのだろう。
だけどそれは
私の中での確信がない。
「まだ…わかんないよ…」
「市倉くんへの遠慮?」
「それも違う。ないと言ったら嘘になるけど…」
「じゃあ何?」
「自信、ないの。誰がとか誰にとかの前に、気持ちに自信が持てないのよ…」
曖昧過ぎるその感情に
あっさりと名前を付けられる程の自信がない。
臆病になったものだな…と思わず自嘲した。
「友響…」
智香の声を掻き消すように予鈴が鳴り響く。
私はその声に気付かなかったように
「行こうか」
と、お弁当とペットボトルを片付けた。
「ねぇ友響」