放課後ハニー


「…ごめん」



口を突いて出たのは謝罪だったけど、智香はキッと私を睨む。


「もうない!?」
「え?」
「話してないこと!まだなんかあるでしょ!?」
「え…っと…」
「事実だけで整理付いてたら空元気になってまで悩む事ないでしょ!?」



今にも火花が散りそうなくらいの雰囲気で迫り
彼女なりに推測したことを
言わせたいのだろう。

だけどそれは

私の中での確信がない。



「まだ…わかんないよ…」
「市倉くんへの遠慮?」
「それも違う。ないと言ったら嘘になるけど…」
「じゃあ何?」
「自信、ないの。誰がとか誰にとかの前に、気持ちに自信が持てないのよ…」


曖昧過ぎるその感情に
あっさりと名前を付けられる程の自信がない。
臆病になったものだな…と思わず自嘲した。



「友響…」


智香の声を掻き消すように予鈴が鳴り響く。
私はその声に気付かなかったように


「行こうか」


と、お弁当とペットボトルを片付けた。




「ねぇ友響」


< 47 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop